Exploratoryとの出会いは偶然か必然か
2020年08月10日始めにデータありき
私がデータ分析の魅力に取り憑かれたのは今から36年の前の30才の頃である。父親の経営する金型工場(有限会社 中島工機製作所)に入った時だ。ちょうど時代が職人技術の塊の世界の中にCAD/CAMとコンピュータ付きNC工作機械が普及し始めた頃である。誰もが経験したことのない世界であったおかげで、現場もコンピュータも知らない門外漢の私でもスタートは全員一緒だということに気づき、急いで勉強した。勉強して自分の武器にすることが転職して間もない者の生き残るための知恵でもあった。時が味方してくれたのかもしれない。
データとの出会い
CAD/CAMとコンピュータ付きNC工作機のNC旋盤、NCフライス、マシニングセンター、型彫り放電加工機、ワイヤー放電加工機を一通り経験させてもらった。職人の手、技でなくデータが機械を動かすという世界を味わいながら、逆に職人が汎用機のハンドル付きならば加工が出来てもコンピュータ付きNC工作機械のボタンでは加工が出来ないという現実を目の当たりにした。それ以来、職人の持つ「暗黙知」を解明することがライフワークになった。
データはコミュニケーション・ランゲージだ
当時から「暗黙知」を表現するものはデータとアルゴリズムであると思っていた。職人作業分析のための観察を続けながら機械のデータと突き合わせる作業を20年間続けた。職人への聞き取りは難しい。質問と答えがちぐはぐになりお互いストレスがたまるものだ。そこでひとつひとつの加工とそのデータを元に会話をすることにしたら、みるみるうちにお互いの壁が破れ意志疎通がスムーズになった。現場での共通言語は日本語でなくデータなのだということを発見した。
データ分析の世界へ
「暗黙知」を解明するためにはデータの分析は必須である。データを整理分析しアルゴリズムを見つけ予測していく世界が次には待っていた。既知の一般知として「統計・確率」の世界はあったものの文系の私には難解で何度勉強をし直してもはじき出され中途半端な状態が続きEXCELで誤魔化してきた。もうゼロからやり直すしかないと覚悟を決め、数学の基礎から学び直していた。
日経ビジネスのデータサイエンス講座
日経ビジネスの「シリコンバレーからデータサイエンス」、「データの民主化」というキャッチコピーに惹かれExploratory西田勘一郎さんのビデオを見つけ、見たら面白く15本全部を一気に見てしまった。独学で何とかなるか頑張ってみたもののどうも進捗が悪かったのでブートキャンプに参加し勉強させてもらった。すっかり嵌ってしまった次第である。
Exploratoryにはまる
ExploratoryはR言語をベースにノンプログラミングで統計、機械学習が簡単に使えるというソフトウェアである。はまった理由は2つある。
ひとつ目は西田勘一郎さんのデータサイエンスの民主化への思いがこもっている製品であること。最近、制作者の思いが手触りで感じられるものが少ないだけにそれだけでも魅力的である。
ふたつ目はユーザーインターフェースの簡便な点と機能が網羅されていて豊富な点である。例えば回帰分析と機械学習のランダムフォレストを同時に比べることができる。プロから見えれば簡単かも知れないが素人に取ってはありがたいものである。
統計分析の世界では機械学習は、3次元CADがそれまでの2次元CADの世界からひとつ別の地平にたったようなものである。
出会いは 偶然か必然か
Exploratoryの西田勘一郎さんとの出会いは生徒としてブートキャンプに参加した後に起きた。それはたまたま偶然だった。しかし私のこれまでの流れを振り返ると必然だったのかもしれないという気がしている。ある人の言葉を借りると「すべてのご縁はその人にとって必然である」そうだ。
私自身はまだまだExploratoryの初心者であるがこれからマスターしていきたいと思っている。